アメリカでみつけた便利な物~Part2~

アメリカでみつけた便利な物に皮むき機(ピーラー)があります。
渡のお気に入りはこれ。これはいいです。

OXO 皮むき器 たて型ピーラー

OXO 皮むき器 たて型ピーラー



私は皮向きというのは実は「単純で一番お手伝いしやすいもの」
だと思っておりました。皮がめくれていく過程というのは視覚刺激にもなるので、渡も好きかと。なので割と小さいときから、教えました。皮さえむければ、人参だって生で食べてもいいわけだし、最悪リンゴだってこれで向いてしまえばいい。

ところが、自閉症の渡は、まずはピーラーを持たない。興味がないし、どうも感触がいやなようでした。渡が持たなかったピーラーはこれ。

Ritter(リッター) スチール製皮むき器

Ritter(リッター) スチール製皮むき器

このピーラー。私が渡に手を添えて、何度も教えました。ところが、渡には向かない事が判明。たとえば、このピーラーは左手で皮をむきたい野菜を持ち、右手でその上から皮を削り落とす感じです。(左右逆でもいいのですが。)そうすると野菜の向きを代えるために野菜の持ち直し作業の回数が多くなります。

そんなことをしているうちにこのピーラーが壊れてきたので、買い替えました。その時に
渡は小さいときからOT(作業両方)を受けているので、ゴムのようなボールを使う事を思い出し、ゴムグリップの形で棒状のものだといいのでは?と思いつきました。それでこのピーラーを購入

OXO 皮むき器 たて型ピーラー

OXO 皮むき器 たて型ピーラー

これだと人参や大根などは根元を持ち下に皮を向き落としてゆくことができるので
渡でもできるかな?と角度ももったらそのまま90度でむけるのでいいな。と思いました。


なれるまでに時間がかかりました。まず野菜は皮をむかないといけないことも教えねばなりません。一本の人参をむくだけでははおぼえないので、大量に向いてもらって、切って冷凍したりしておりました。
そうこうしているうちに皮むきは覚えました。野菜の皮を向いてもらうだけでも台所作業というのは、ずいぶん楽になります。主に夕方のご飯を作る時間、渡が機嫌がいい時をねらって、座ってむいてもらっておりました。時間をかけて渡は丁寧に向きます。


さて。
今朝は、私は渡と同時にでて、仕事が終わる夕方まで帰宅しません。
夕飯を作る時間がない訳です。
朝早めにおきて、肉じゃがを作る事にしました。
渡の唐揚げ弁当をつくり、さて肉じゃがです。
さすがに朝から肉じゃがをつくるのは、時間が足りず。あわてておりました。
うっ、このままだと肉じゃがが未完成のままで出勤になってしまう。
と、すごく慌てていると、朝早くおきて、学校にいく準備も一人で終えた渡が台所にやってきた。
学校に行く準備はこちらを参照になさってください。


暇な渡はすたすたと台所にやってきて、私のことをちらっとみてる。
うー、この時間がないときに台所に立たれると邪魔なんだよなー。と思い、注意しようかな?と思ったら、渡は、やわらピーラーをにぎりしめ、水につけてあったじゃがいもをとりだして、ゴミ箱の上で皮をむき始めました。

えっ!お手伝いしてくれてる。それも頼んでもいないのに、空気で読んで手伝ってくれてる。
これは、うれしい。こんなこと香穂以外には、してもらったことはりません。香穂が大学に行ったあとは、私はいつも一人ぼっちで台所に立ち、材料を切り、ご飯を作り続けています。


今、この現実は、朝の崖っぷちに立たされたような焦ってる時間に、救世主のように、渡がやってきて、じゃがいもの皮をむいてくれているのです。
たがが、じゃがいも、されどじゃがいもなのです。皮をむかないかぎり、肉じゃがはできません。
どんどんと渡がむいていってくれるジャガイモを切ろうとしたら手もとがにじんで、見えにくい。涙ぐんでしまった私。さらに渡は、横にあった人参にも気がつき、どんどん皮がむけてゆきます。

2つの野菜をむき終えると
"Here you go!"(さぁ、どうぞ)
と言っておりました。

ありがたい。渡のおかげで、彼のバスが到着する前に肉じゃがが完了。
私が今日、渡を見送る言葉は、いつもと違い、
「ありがとうね。渡。助かったわ。いってらっしゃい。」
このほんの少しの声かけの言葉が増えただけで、すごくうれしそうに
なんだか、自慢げにバスに乗った渡です。

あわてて作ったので、夜に食べた肉じゃがは、少し甘めの肉じゃがでしたが、私にとってはこれが今まで食べた中で一番おいしい肉じゃがでした。
うれしい一日でした。ありがとうね!渡。