渡の悪事〜ナンパの妙技〜

渡は、美人が好きです。それもおもいっきりの美人。
彼の趣味は、オオドリヘップバーン(もちろん、年取る前の彼女)
大好きな映画は、ローマの休日


彼は今、10才だけど、言葉を話し始めた5歳ころから、ナンパがすごかった。綺麗な人を見かけたら絶対に

”ハ〜〜イ!”

と声をかけないと気がすまない。それが子供だとダメです。絶対に成人女性。
当時は、まだ小さい子供だったので、必ずあかるいカリフォルニア人の人たちは、

”ハ〜〜イ”

と笑顔で返してくれる。ところが年齢が進むにつれ、彼は、何度も

”ハ〜〜イ!”

と同じ人に話し掛けるので、相手もちょっとウザイという顔をされることが増えてきた。

現在10歳になってしまった彼は、もう
”ハ〜〜イ!”

といってもなかなか、返事を返してもらえない。
それなりに、男前じゃないと返してもらえない年齢になったのだろう。
遺伝というのは、おそろしい。
親に似てしまった。けど、彼は女性に対しては、
創意工夫をおこたらない。
相手にされなくても、くじけない、へこたれない。
アタックナバンバーワンのこずえちゃんもびっくりだ。

先日歩いていたら、スタバの前で絶世の美女が、
イスに座って本を読んでいた。
100m以上手前から、彼女に気がついたわが息子。
声かけても絶対に返事してもらえないだろうな。
ほおっておこう。相手も無視してくれるだろうし。
・・・とおもって私は普通歩いていた。
息子は、スキップしながら彼女に近づいていった。

「どうせ、ハ〜〜イ!ていっても返事してもらえないよ。」

と思っていたら、息子は、彼女のまん前までスキップで近寄り、
女の前でピタッととまった。
それから、開いている本を指差しながら、大きな声で、元気よく

"This is a book."

と言ってのけた。あまりにあたりまえのことを言われた彼女は、
プッとふきだし、まっ赤な顔で笑っていた。その笑顔を見て、
満足して満面の笑み浮かべたわが息子、
そのままお目当てのお店へを消えていった。