やっちゃったパパ

渡が、夜に突然泣きながら私のところに走ってきた。で、
「1月日本。1月日本」
と言う。
どうしたんだ??と思ったが、パパと一緒にいて、叫んだので、久しぶりに自宅にいるパパが、怒鳴ったのか?と思い、聞いてみると、怒っていないという。
理由がなくパニックになることはないので、なにかのきっかけがあったはず。落ち着かせて聞いてみると、手をひっぱって、カレンダーの前に連れていかれた。
渡の部屋には、ボブとブーブのカレンダーがある。そこに渡は、自分の好きなことだけスケジュールを書き込んでいる。渡は、パパに、
「1月14日に日本って書いていい?」
と聞いたらしい。
で、パパは、なんの気なしに、
「自分のカレンダーなんだから、なんでも好きにかけば?」
と言ったみたいだ。渡は書いたものの、行けるわけはないなので、それで私のところに泣きながら走ってきたようだ。もうパニックになっているので、手がつけられない。私は、いろいろ話したけれど、誰を信じていいか、わからないらしい。しょーがないので、ゆっくり説明して、落ち着かせて、
「なら、いつ日本にいけるか、おばーちゃんに電話で聞いてみる?」とたずねると、
「うん」
と嬉しそうにうなずいた。
母に電話して、とにかく
「次のクリスマスに会おうね」
と言ってくれと、お願いしたら、母も心得たもので、
「わたる、次のクリスマスに会おうね。」
と英語で話してくれた。そのとたん、笑みにかわって、
「タータン、次のクリスマスね。SEE YOU NEXT CHRISTMAS!」
と、言っていた。そのままカレンダーのところに行き、1月14日にバツをし、12月のクリスマスの前に、
「JAPAN」
と記入していた。
母に、事情を説明して、渡が落ち着いたことを話すと、えらく喜んでくれた。私は、母に
「これで、クリスマスに会えなかったら、パニックなんていうものじゃすまないので、
元気で次のクリスマスを迎えてください。」
と話しました。
渡がもう一度電話をかわれというので、かわったら、日本語で、
「おやすみなさい、たーたん」
(我が家は祖母のことをタータンとよぶ)
としっかりあいさつをして、パニックの涙をぬぐって、ベットにはいりました。
ほっ。助かった。

パパ、ダメだよ。渡のカレンダーに勝手なスケジュールを書いていいって言っちゃ!
渡は、スケジュールを確認していただけなんだからさぁ・・。
久しぶりのパニックでした。なんか、パニックばかりだった小さい頃が、ほんの少し懐かしくなりました。