ウェブ人間論

今、梅田さんと平野さんのご本を読んでいます。

ウェブ人間論 (新潮新書)

ウェブ人間論 (新潮新書)

おもしろい。私が目にするインターネットの評というのは、どうしても子育て関連の雑誌みたいなもので、
「自閉の子供にPCは、よくない」
みたいなのが多いです。けど、話してる人自身がPCをさわったことあるのかどうか?みたいな人の話ばかりなので、この御本のように、きっちりとした
見方でみれるのは、とてもおもしろい。子育てしてるお母さんは、読むべきだと思う。子供がPCの前に座ったら、
「また勉強しないで、PCばっかりしてる」
などという考えは、もたないほうがいいと思う。PCをつかって何をするのかが大事なんだし。
ところで、梅田望夫さんの講演や座談会、本などを今まで拝見しての感想。私は、梅田さんの後ろに、いつも
”話しの薬棚”
が見えてしまう。
薬棚ってこんなもの。

話をしていると、その話題にあった薬棚の引出しが、取り出されて目の前に、バシャって、ひっくり返して見せて処方してくれる感じです。これじゃないの?これが必要なんじゃないの?みたいな感じです。
もっとわかりやすく言えば、映画
千と千尋の神隠し

”釜爺”
みたいです。いえ、釜爺にルックスが似ているわけではありません。だって釜爺の声は、菅原文太だし、あまりに梅田さんのイメージではない。

香穂に梅田さんって釜爺みたいと言ったら、それはひどいと言うので、こういうことだと説明したら、あっ、ルックスじゃないからと注意書きをすべし。と注意されましたので、ここに書きます

どういうことかというと、釜爺は、あの「油湯」という湯屋で、ボイラーを担当して、何百という薬を薬棚に所有し、薬を調合をしています。薬棚から、調合すべき薬を取っては、リクエストに答える形で、調合して湯に入れます。湯に入る側は、はっ〜!とくつろいだ、ほっとしたいい気分になる。けど、お湯は最初熱かったりもしますよね、そういうこともあったりして、刺激がある。
その小さな棚をたくさんもっているのが、梅田さんのイメージです。
私は、シリコンバレーに住んでいますが、ここは、圧倒的に技術者が多い。彼らは、話をするときに、彼らなりに私のようなものにもレベルをあわせて専門的なことを話してくれるのですが、私の頭ではさっぱり理解ができない。どういう状態か?というと、薬棚と比べて言うなら、彼らは、専門の大きな引出し(洋服などを入れる大きな引出しの棚をイメージしてください)をもっていて、それを両手で引っ張って開けて見せてくれる感じです。その大きな引き出しには、表に
"ネットワーク管理”とか、”ソフトエンジニア”とか、”ウェブ2.0
などというのが書いてあると思ってください。
それで、開けると引き出し内は、本当に小さく細分化されて、区切りが無数にあり、そこにギッシリ専門分野の知識が入っています。その中から割合、簡単なものを引っ張りだして見せてくれたり説明してくれたりするのですが、私のように、知識がないと、最初に開けてくださる大きな引出しの意味さえもわからないので、どんなに小さなわかりやすいものを見せてくれても、それは、わからないわけです。
けど、薬箱のように一つ一つが別個で細分化されて、あったものを処方してもらえば、私でもなんとなく、いろんなことがゆっくりでも理解できて、ほっとします。
ご本に戻ると、まだ途中までしか読んでいませんが、平野さんは、芥川賞作家ですので、表現が緻密だし、言葉に力がありますね。が〜〜ん!っていう感じの強烈なインパクトがあります。それでもって、対応が釜爺ですので、こういう二人の対談形式で進むこの本は、読んでて引き込まれてしまう。
渡の子育てしながら本を読む私は、日本のように電車通勤の時間がないので、レジ待ちなどの時間に読むのですが、ついつい本に集中してしまって、お金払わないで出てきそうになってしまう。
最近読んだお勧めの一冊です。