先生が褒めるということ

渡がメインストリームしている数学の時間にテストがあったようです。問題は計算が多かった為、渡は18問のうちに17問が正解。右上に先生が、
「クラスで一番だったよ」
と書いてくれました。

いつもはこんなことは先生はみんなに書かないのだけど、先生も渡が知的障害を伴う自閉症である事はご存知。他の生徒は、みんな静かに授業が聞けても、渡は紙をめくる音などがどうしてもブルドーザーくらいの音に聞こえるよう。その音を消したいために、
「うーっ」
とか小さい声でうなってるし、ロッキングはするし。やっぱクラスでは変わった生徒なんだと思う。
けど、先生は私が懇談会の時に
「クラスにはついて行けていますか?」
と心配していたことを覚えてくれたようです。この写真の文字は、先生が私に伝えたかった気がします。お母さんが心配しなくても渡はがんばってるよ。と。なんだか先生の暖かさにじーんときました。
渡もすごく自信がついたので、宿題は絶対に忘れません。

こういうのって大事だと思いました。どんな子どもでも一つや二つは褒めるところがあると思う。できない事をあげつらうのはすごく簡単だけど、人間のいい所を見つけるっていうのは、大変です。自分がぎりぎりの環境で生きていたり、余裕がなければ、人のことを真剣にみて、いいところをじっくり探すっていうのは難しいからです。
自閉症の子育てっていうのは、かなりハードです。いくら一生懸命やっても母親に「いい子を生んだわねー」
なんてなかなか言ってもらえないし、
「子育てしやすいいい子ちゃんね。」
なんて、聞く事もないでしょう。(たぶん・・。すくなくても私はなかった)

けど、褒められると子どもも母親もうれしいです。
自信もつくし、モチベーションもあがります。
いつも声をだして叫んでる子も、もしかしたら腹式呼吸だったりして、歌を教えてみたらすごく上手いのかもしれない。ただ、教えてくれる大人がいないだけかもしれない。
多動な渡は昔は、1秒だって座る事はできませんでした。これも先生がたった1秒座った時に、みんなで褒めてくれました。その1秒を逃さない先生のすごさと余裕があったからだと思う。今は90分の授業を一度も席をたたずに聞ける様になってきました。
これは数学の先生がそれとなく褒めてくれているからだと思う。言語がわかるようになってきた渡は、褒められたらわかる。これもいままでずっと視覚をつかって周りの人たちがへこたれずに渡に物事や愛情を伝えてくれていたからなんだと思う。

お世話になった&なっている皆様。皆様のおかげで渡は、幸せな数学1番を頂きました。ありがとうございます。