渡の悪事〜医者編 Part2〜

渡は重い喘息とアレルギーがあります。風邪などを引いたり、アレルギーがでると、すぐに呼吸が苦しくなって、危なくなります。そうなると緊急病院に運んで手当てをしてもらうので、生まれて6年間は、緊急病棟には、わりとよくお世話になりました。
渡が5歳のころ、早めに病院に連れていったのですが。
あっとうい間に症状が悪化し、渡が自分の力で、体内に酸素を取り入れるのが大変になり、危険な状態になりました。
病院では、
「これで親族の方は全員ですか?」
と確認され・・。
主人には、何度も電話したのですが、アジア出張中で、つかまらない・・・。
アジアにいかれると、東海岸よりは、つかまる率は減ります。
どうしてこいう時に限ってと思いましたが、我が家のパパは出張が多く、
年間に数日しか家にいません。なのでしょうがないことです。とりあえず本社に連絡をとって子供のことを伝えました。
「パパに会えないまま・・」と思うと涙でいっぱいになった私。
看護士さんや麻酔を打ってくださる方、医者の方たちがテキパキと、渡の手当てを
してくださっています。目の前で、どんどん管が差し込まれてゆく渡をみながら、香穂と私は、とてもつらく、二人で、不安をかき消すように、話をしていました。けど、二人とも話しが上の空。
一夜のうちの気管支拡張剤や、点滴をうってもらって、相当ラクになった渡。
朝は、だいぶ元気になりました。香穂もほとんど寝ずに、病院から、学校にいきました。
それと入れ替えに看護士さんのシフトがかわり、新しい女性の看護士さんが来てくれました。
サンタクルーズでサーフィンをしてそうな、とってもかわいい女性の看護士さんです。
私は徹夜で疲れ果てながら、看護士さんにあいさつをし、渡の状況を説明していました。
少し元気になった渡は、朝から目を覚ましていて、新しくきた看護婦さんをちらっと見ました。
彼女が
「ワタ〜!おはよう。調子はどう?」
と聞いたとたん・・・。
なんと渡は布団の中から、両手をだして、
看護士さんの手を握った・・・。そして。
"Hello~!"
ってナンパをはじめました・・・。
あの・・・渡・・・アンタはきのう、危なかったんだよ・・。
香穂も泣いて私も泣いて、心配してたんだよ・・で目を覚まして、第一声が
ナンパかい!もう私はあわてて
「ごめんなさい。渡は、なによりも美人の女性が好きで、美人をみるとすぐに声をかけてしまうのです。ごめんなさい」と緊急病棟でまで、必死であやまっていましたが、もう恥ずかしくて、恥かしくて・・。
看護士さんのほうもなれていて、
「あらぁ〜!ワタ。私のことを気に入ってくれたの?うれしいわ。」と手を握り返してくれて、
ワタは満べんの笑み。
「ヲイヲイ・・もうちょっとは、重症患者のようにしていてくれよぉ。渡!!」
とおもった入院事件でしたが、彼にとっては、命と同じくらいナンパは、大事らしいということも私は学習しました。